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「命は大切」を法律で強制的に解らせる漫画「イキガミ」を読む

どんな漫画?

「命は大切」という当たり前のフレーズ…この言葉を実感させるために長年運用されている「国家繁栄維持法」という法律があります。

全国民が小学校入学時に受ける「国繁予防接種」その注射器に混入したナノカプセルによって、1000人に1人の確率で18歳から24歳までのあらかじめ設定された日時に命を奪われます。

その逃れられない死の運命を知らせる通称「イキガミ」と呼ばれる死亡予告証、このイキガミが本人に届くのは死のわずか24時間前。

死を免れた大人たちは命の価値を称え合う…

という設定の漫画で、主人公はこの漫画のタイトルにもなっている「イキガミ」を死が確定している若者に届けるイキガミ配達人です。

死亡した若者は、命の価値を国民に伝えた英雄扱いで、「死」までの24時間はほとんどの場所や店で特別な扱いを受けることができます。

 

見所

何と言ってもイキガミが届けられた若者の「死」までのカウントダウンの過ごし方が一番の見所になっています。

今まで良いことがなかったからと、やりたい放題をし破滅に向かって進む者や、「死」を受け入れようとする者、自分の生きた証を残すために、やり残していることを完遂しようとする者など、実にさまざまです。

18歳から24歳という思春期で心の安定していない若者たちに通知される「イキガミ

もらった瞬間から確定している逃れられない「死」への恐怖や、なぜ自分が選ばれなければならなかったのかという葛藤など、読むものの心に何かが刺さることでしょう。

主人公も「国家繁栄維持法」という制度そのものに疑問を持ち始めたりと、命の価値を国が演出して作り出していることの矛盾に悩んでいきます。

イキガミを配達することで出会った若者たちを見ていき、主人公がこの制度にどう答えを出すのかは必見です。